バンディエラという言葉を知っていますか?
イタリア語であるこの言葉は広い意味では「旗頭」となり先頭に立って旗を振る人のことです。
サッカーの世界では同じクラブで長くプレーする選手のことを指し、基本的には新人の時から同じチーム一筋です。
別のチームへの移籍が当たり前のサッカーの世界ではバンディエラはサポーターからも同じチームの選手からも信頼を集める存在です。
Jリーグでも存在感を発揮するバンディエラをご紹介しましょう。
バンディエラが尊敬される理由
バンディエラが人々から尊敬されるのは選ばれた選手だけがなることができる存在だからです。
例えその選手が引退してもバンディエラはずっとそのチームの歴史に名前を残すことになります。
バンディエラになるのは難しい
移籍をすることが当たり前のサッカーの世界で同じチームでずっとプレーするのは簡単なことではありません。
なかなか出番がなければ出場できるチームに移籍をすることになりますが、それは新人でもベテランでも変わりません。
若いからといっていつまでも成長することを待ってもらうことはできませんし、今までチームに貢献してきた選手でも新しい選手が伸びてきたり、自分の力が衰えてきたら出番を失ってしまいます。
厳しいですがそれがプロの世界なのです。
バンディエラはそうした厳しい戦いを乗り越えてずっとチームに必要とされる選手と言えます。
だからバンディエラは誰でもなれるものではないので貴重な存在なんですよ。
チームへの忠誠心が心を打つ
選手には常に移籍の話がついてきます。
出番が少ない選手は出番を得るために移籍する話が出ますし、優秀な選手は他のチームが放っておかないので必ず移籍の誘いがきます。
バンディエラはそんな話を断り続けてずっとチームに尽くしてきた選手です。
自分の人生を考えて移籍をすることは何も悪いことではありませんし、移籍を繰り返すことをダメだと言う人はいません。
それでもチームに対して変わらぬ愛をみせてくれるバンディエラがチームやサポーターは大好きなのです。
Jリーグのバンディエラ
ではJリーグにはどんなバンディエラいるのでしょうか。
中村憲剛 選手(川崎フロンターレ)
現役のJリーガーでバンディエラという言葉がここまでふさわしい選手もなかなかいないでしょう。
2019年シーズンで在籍17年となりますが、2003年に中央大学から入団した時の川崎フロンターレはまだJ2のチームでした。
1年目から出場機会を得た中村選手はチームのJ1昇格に貢献し、次第に中心選手となっていきます。
2010年にはワールドカップにも出場するなど輝かしい実績を誇りますが、川崎フロンターレでは何度もタイトル目前で悔しい想いをしてきました。
そんな中村選手の悲願が叶った2017年の川崎フロンターレ初優勝はファンならずとももらい泣きするものでした。
遠藤保仁選手(ガンバ大阪)
遠藤選手は2001年に京都サンガから移籍してきた選手ですので正確にはバンディエラとは言えません。
ですが既に2019シーズンで在籍19年目となり、これまでガンバ大阪が獲得した全てのタイトルに貢献してきた遠藤選手はガンバ大阪の顔と呼ぶのにふさわしい選手です。
次々と優秀な若手選手が出てくるガンバ大阪でポジションを譲ることなく存在感を出し続けている遠藤選手はサポーターの心を掴んで離しません。
他にもサンフレッチェ広島の元日本代表の青山敏弘選手やベガルタ仙台のリャンヨンギ選手などがバンディエラと呼ぶにふさわしい存在感をみせています。
レジェンドバンディエラ
各チームのサポーターには忘れられないバンディエラが必ずいるものです。
その選手の存在はチームに確かに根付いていて、レジェンドとして君臨しています。
例えば元セレッソ大阪の森島寛晃選手は現役時代の19年間をセレッソ一筋で過ごしています。
彼が着けた背番号「8」はセレッソのエースナンバーとされて、香川真司選手、清武弘嗣選手、柿谷曜一朗選手などの日本代表選手が着けていました。
柿谷選手も途中で移籍はあったもののバンディエラの資格にふさわしい選手ですが、彼は幼稚園の頃からセレッソが大好きで、背番号8を背負うことを夢見てきた選手でした。
こうして現在セレッソの顔として柿谷選手が存在するのも森島選手という象徴への憧れがあったからです。
他にも双子のバンディエラとしてサンフレッチェ広島をどんな時も共に支えた森崎兄弟の引退セレモニーは鳥肌ものでしたし、2018年に引退した浦和レッズの平川忠亮選手も入れ替わりが激しいチームで長年に渡り活躍してきました。
バンディエラの存在はこれから何10年も続くであろう各チームのなかで決して色あせない記憶として残るのです。
Jリーグならではのバンディエラ
バンディエラは1つのチームで長くプレーする選手のことを言うとご説明しました。
ですが、海外に移籍する選手も多くなったJリーグでは実力のある選手は外国に活躍場を求めます。
ですが、海外での挑戦も一区切りがついた時にまた古巣に戻るケースが多いです。
例えば2018年に引退した鹿島アントラーズの小笠原満男選手はイタリアに移籍した経験がありますが日本では鹿島一筋でした。
同じく鹿島の内田篤人選手もドイツでの活躍は長いですが日本では鹿島でしかプレーしていませんし、先ほど紹介したセレッソ大阪の柿谷選手もJ2に修行に出たりスイスに移籍したりがありましたが、印象度ではバンディエラの名にふさわしい選手です。
Jリーグは選手の海外移籍を快く送り出すところがあり、チームの仲間として扱っていると感じることがよくあります。
そしてその選手も海外の貴重な経験を日本に戻った時には元のチームに伝えるので、Jリーグ式のバンディエラが誕生するのです。
バンディエラのプレーにも注目
サッカーを観戦するのにはいろいろな見方がありますが、バンディエラに注目してみるのもおもしろいです。
彼らが登場するだけで観客も盛り上がるのでスタジアムの雰囲気が良くなります。
その影響力にきっと驚くことでしょう。
ぜひ、バンディエラの活躍や未来のバンディエラ候補にも注目してください。